光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん、何度でも言うわ。秋斗くんイコール狼さんって認識を覚えましょうね」
 秋斗さんが狼さん?
「……あっ――」
 誕生日の日に言われたことを思い出す。
 思い出して一気に上気した。
「翠葉……お兄さんは少し成長が見えて嬉しいよ」
「でもでもでもっ――秋斗さん、そういうことはしないって言ったしっ」
「くっ、本人から牽制された」
 私のすぐ横で、秋斗さんがくつくつと笑う。
「えっ!?」
「翠葉、気をつけなさいよ~? 秋斗、手が早いんだから。うかうか寝てられないかもね」
 湊先生がニヒヒと笑う。
「秋斗さんっ、空が見えるお部屋で休めるのは嬉しいです。でも、でも、でも――」
「大丈夫だよ」
 秋斗さんはクスクスと笑いながら私の頭をそっと撫でた。
 秋斗さんと同じ空間にいられるのは嬉しい。でも、やっぱり少し緊張する。
 それでも、嬉しい気持ちのほうが勝る。
 今はまだ大丈夫――。
 まだ余裕がある。痛みが出てきたら家に帰ろう。
 だからそれまでは側にいてもいい? それまでは側にいさせてもらえるかな――?
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