光のもとでⅠ
「ったく強引なヤツだなぁ……」
 まぁなんていうか、雇い主である静と少し話したほうがいいのは事実だ。
「翠葉ちゃん、それはなしだよ」
「翠葉~、すまんっ、静に携帯を奪われた」
 携帯の向こうにいる娘に自分の声が届くことを祈って声を発する。
 静、俺の目の前で翠葉をいじめたら許さんぞー。
 そんな視線を送りつつ、ビニール袋から弁当をふたつ取り出す。
 俺の分と静の分。
 何かの拍子に落としちゃいました、というのは勘弁だから、ここまで来るときは必ずビニール袋に入れて持ってくる。
「そもそも、どうしてそんな話に?」
 言いながら、静は自分の携帯を取り出し、ディスプレイに何かを表示させて俺によこす。
 電話をしながら、とは器用なものだ。
 携帯を受け取りディスプレイを見ると、そこには秋斗くんの名前と番号が表示されていた。
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