光のもとでⅠ
『さっき、記憶に関する話を少ししました。そのあと、なかなかカメラを手にしない彼女に写真を撮りに行かないのかと勧めたのは自分です』
 この子もまだ迷走中かなぁ……。
「だからさ、それが何? 悪いことじゃないでしょ? 別に思い出せと言ったわけではないだろうし、仕事なんだから写真を撮れと言ったわけでもない。違う?」
『はい、ですが……その話題を出されるだけでもストレスになる可能性は――」
 一度傷つけると怖くなるよね。
 大切な人が傷つく姿を見たら、臆病にもなるってものだ。
 でもね――。
「秋斗くん、俺は言ったよね? もう、囲って守って――ってそれだけをするつもりはないって。ストレスだってさ、ある程度は耐性をつけておかなくちゃ。それはこれからの翠葉に必要なものだからね」
『でも、彼女にとってストレスは――』
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