光のもとでⅠ
「秋斗、彼女のフォローを頼む。カメラは彼女の見えないところに置いてくれ。明日は挙式の予定はないが、あまりにもひどく緊張しているようならチャペルには行かなくてもかまわない」
 そう言うと、携帯を胸ポケットにしまった。
「……なんだ?」
 涼しい顔をして訊いてくる。
「なんだじゃないよ、翠葉との通話切っちゃうしさ」
「今頃秋斗が迎えに行っているはずだ」
 ま、そうだけど――。
「静、うちの子食い物にしたら許さないよ? 信じてるけどさ」
「そんなつもりはない」
「うん、わかってる。ただ言っただけ」
「…………」
 もといた石に座り、今度こそ弁当の蓋をあける。
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