光のもとでⅠ
「翠葉は今、秋斗先輩と森林へ行っていて、俺たちとは別行動なんだ」
『大丈夫なんですかっ!?』
「たぶん、今のところバイタルに異常もないし、何かあっても栞さんと昇先生がいるから平気だと思う」
『体調のこともですけど――その、気持ち的なことも……』
「んー……若干いっぱいいっぱいぽいけど、でもきっと大丈夫」
『どうしてですか?』
「どうして……か。そうだな、秋斗先輩も少しは変わったと思うから、かな」
『私は不安です。また何かあったらどうしようかと思っちゃいます』
「……なんていうかさ、これ以上ひどい状態にはなりようがない気がするんだ」
 記憶をなくす以上にひどいことってどんなだろう。
 それを考えて想像できない時点で今が最悪……。
 記憶を取り戻したらいい方へ進むのか。
 そう自分に問いかけても「Yes or No」の答えすら出せない。
 もう、何が起きてもそれをありのままに受け止めるしか方法がない。
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