光のもとでⅠ
『がんばってるんですね?』
「ん?」
『翠葉離れ』
「あぁ……努力はしている。俺には与えてやれないものがたくさんあるって気づいたから」
 翠葉の世界はもう家の外にもあるんだ。
 だとしたら、俺がすべてである必要はない。
 俺は兄でしかない。家族でしかない。
 同年代の友達にはなってやれないし、彼氏になれるわけでもない。
 そういったものを得られる場所を見出したのなら、そこで得られるものはそこで得るべきだ。
 俺に家族以外の世界があるように、翠葉にもそういう場所ができたのなら……。
 それがあるべき姿――。
『それで蒼樹さんは大丈夫なんですか?」
「俺、かぁ……。そうだな、桃華がいるから大丈夫ってことにさせて?」
『心からそう思ってもらえる日が来たら嬉しいです』
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