光のもとでⅠ
「心から思ってるよ。でも、桃華は翠葉の代わりじゃないからね」
 翠葉はあくまでも妹で、桃華は好きな人、だ。
 代わりになるわけがない。
 翠葉が俺を必要としている間は離れるつもりなどなかった。
 また、「翠葉離れ」とは言ったものの、翠葉が手を伸ばせばいつでも手の届くところにいるつもりでいる。
 果たしてそれを、「翠葉離れ」と言っていいものか。
『翠葉、学校でものすごくがんばってます。たまに間違ったほうにがんばってるんじゃないかと思うこともあって、見てる私はドキドキさせられっぱなしですけど。でも、周りは不思議と翠葉のペースに流されていることもあって……』
「呼び出しの件、だよね」
 翠葉は俺たちに何も話さない。
 それを案じてか、桃華が俺に教えてくれる。
 けれど、それで俺が翠葉に何かを言うこともない。
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