光のもとでⅠ
「桃華、ありがとう」
『え?』
「こうやって桃華が学校での翠葉を教えてくれるから、今のところは大丈夫なんだと思う。自分が信頼できる人間が翠葉の側にいて見てくれているっていうのはすごく大きいよ」
『そんな……私は翠葉が好きだから一緒にいるだけです』
「うん、それでも――ありがとう、かな。……桃華、そっちに帰ったらデートしよう?」
『……デート、楽しみです』
「あとさ、紅葉祭に行ってもいい?」
『……紅葉祭、絶対に来ると思ってたんですけど、違ったんですか?」
「いや、行くつもりではいたけど――そうじゃなくて、桃華のフリータイムに合わせて行ってもいい?」
『えっ……?』
 彼女にしては珍しく大きな声だった。
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