光のもとでⅠ
「翠葉がさ、付き合っているのは秘密なのかって訊くんだ。だから、俺はそのつもりはないけど、桃華はどう思ってるのかわからないって答えたんだけど……」
『……自分から誰かに言うってのはなんだか恥ずかしくて……。隠しているとかそういうわけでは――』
 うろたえる彼女がかわいい。
「じゃぁさ、紅葉祭で俺は彼氏面していいのかな?」
『……問題ないです』
 小さな声で、どこか機械的に話す。
 そんな桃華がかわいいと思った。
「じゃ、フリータイムは俺と校内デートね」
 そんな約束を取り付けて電話を切った。
 電話を切ればメールを受信する。
「……先輩? 何これ。件名からして意味わからないし……」
< 4,308 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop