光のもとでⅠ
 今日は以前来たときと状況が重なることも多く、そのたびに今まで交わした言葉をわざと選んで使っていた。
 それが功を奏しているのか……。
 食事中、彼女にしては珍しく、ぼーっとしていた。
 正に、心ここにあらず――そんな感じ。

 さて、どうしたものか……。
 彼女は数メートル先から歩いてくるけれど、あと少しで俺にたどり着くというのに、視界に俺が入っていない。
「さっきのワンピースもかわいかったけど、そのワンピースもかわいいね」
 声をかけると我に返ったようで、彼女はびっくりした顔で俺を見た。
「歩きながら考えごとは危ないよ?」
 席を立ち彼女の目の前に立つと、彼女は俺の背後を気にする。
 何かと思えば、テーブル上のカップを見てほっとした顔をした。
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