光のもとでⅠ
 状況を説明しながら同じようなことをする。と、
「あっ、秋斗さんっっっ。心臓がうるさくなるから困りますっっっ」
 身を縮めて言う彼女。
 少し残念なのは、今彼女は髪をひとつに結わえているから、こういった照明でなければ首筋まで赤くなったのが丸見えのはずなのに。オレンジの光のもとではそれも叶わない。
「あのときも君の心臓はバクバクいってたよ。俺がからかっているのがばれて、腕の中で『からかうなんてひどい』って抗議された」
 思い出すだけでも幸せだと思うし、かわいいと思う。
 現に今、目の前で同じような状態の彼女がとても愛おしくてたまらなかった。
「……そのときにしたキスは二度目かな。唇以外を含めるなら三度目だけど」
「……え?」
「図書棟の仕事部屋でしたキスは右頬に。翠葉ちゃんが俺を好きと認めたときには唇に。そしてこれが唇へのキス、二度目だった」
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