光のもとでⅠ
「私は――私はいつから秋斗さんを好きだったんでしょう?」
「俺が気づいたのは中間考査の翌週だったと思う。だから、五月の末くらいかな?」
 四月に君と出逢って、俺が一番君の側にいられた時期。
 それがこの時期だと思う。
「何か思い出せそう?」
「いえ――でも、さっき、本館へ戻るとき、少しだけ思い出したんです。秋斗さんと手をつないで噴水広場のキャンドルをきれいって言いながら歩いたときのことを。ちゃんと会話も風景もセットで」
「本当に……?」
「はい」
「ディナーのときは……?」
 つい、矢継ぎ早に訊いてしまう。
「あれは――前にもホテルで秋斗さんにエスコートされたこと、ありましたか?」
「あるよ」
 どっちだ?
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