光のもとでⅠ
 本当にかわいい。
 世界に俺と彼女しかいなくなっちゃえばいいのにな。
 そんなことを真面目に考えるあたり、俺はかなり重症だ。
 頭にキスをされたにも関わらず、やっぱり彼女は無防備で、今は俺の隣で横になって夜空を眺めている。
「星が降ってきたら大変だけど、でも降ってきたらきれいでしょうね」
 目をキラキラと輝かせて言う。
「俺は降ってくるよりも、手が届きそうで届かないって感覚のほうが強いかな」
 物理的に無理。
 そんなことはわかっていても手を伸ばしたくなる何かがある。
 右手を天井へ向かって伸ばしていると、隣からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
 何を見て笑っているのかと彼女を見るが、俺を見て笑っているわけではなさそうだ。
 右手を下ろし、その腕を枕に彼女の方を向く。
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