光のもとでⅠ
 それは俺に付き合う若槻や蔵元、蒼樹も同じだった。
「なんだか必殺仕事人みたい」
 クスクスと笑う彼女。
「あ、それ格好いいから、そういうことにしておいて?」
 君に作ったようなバングルだとか、そういう装置、
 それらを商品とした会社を立ち上げる。
 君みたいな子がもっと自由に動けるようになるために……。
 初めて自分が人に何かをしてあげたいと思った。
 作るのが面白いとか、こういうのがあったら便利だからということではなく、これが医療現場で役に立つのなら、とそんなふうに思って仕事をするのは初めてのこと。
 君は俺にそういうきっかけをくれた。
 改めて彼女を見れば、髪の毛にはあのとんぼ玉が留まっていた。
 まるで、そこが定位置とでもいうかのように。
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