光のもとでⅠ
間接キスなんて柄でもないんだけど……。
彼女のカップを奪い、そうする自分はどうしたものかな。
「はい、これでもう零れることはないと思うけど、持つ? それとも置く?」
「中身が入ってないのなら置きます」
本当は密着したままでもカップは置けた。
でも、少しだけ逃げ出す猶予をあげようと思ったから、身体をほんの少し離して腕の力も緩めた。
けれど、彼女が動く気配はない。
「逃げないの?」
「困ってはいますけど、対処できなくて逃げるほどには困っていません」
意外すぎる返事に、思わず口もとが緩む。
「秋斗さんに言われたとおりなのかな……? 少し慣れたのかも」
「なんの話?」
俺、何を言ったっけ?
ただ、逃げないでくれる、というだけなのに、嬉しくてほかのことが考えられそうにない。
彼女のカップを奪い、そうする自分はどうしたものかな。
「はい、これでもう零れることはないと思うけど、持つ? それとも置く?」
「中身が入ってないのなら置きます」
本当は密着したままでもカップは置けた。
でも、少しだけ逃げ出す猶予をあげようと思ったから、身体をほんの少し離して腕の力も緩めた。
けれど、彼女が動く気配はない。
「逃げないの?」
「困ってはいますけど、対処できなくて逃げるほどには困っていません」
意外すぎる返事に、思わず口もとが緩む。
「秋斗さんに言われたとおりなのかな……? 少し慣れたのかも」
「なんの話?」
俺、何を言ったっけ?
ただ、逃げないでくれる、というだけなのに、嬉しくてほかのことが考えられそうにない。