光のもとでⅠ
「抱きしめられるのはドキドキするけど、どこかほっとしちゃうんです。あたたかくて……ひとのぬくもりに触れてほっとする。だから、秋斗さんや自分が思っているほどにはもしかしたら困ってないのかもしれません」
 思わず苦笑。
「それは嬉しいような嬉しくないような、複雑な感想だな」
「どうしてですか……?」
 振り返った彼女の瞳を捕らえる。
「まず、ほかの男にこんな状況を許してほしくないし、俺は――そうだな、もっとドキドキしてほしい。俺を男として意識してほしいから」
 たとえば、キスしてうろたえる君を見たいと思うし、翻弄されている君を見たいと思う。
 君はすでにそういうキスを経験済みだけれど、記憶にはないんだよね……。
 記憶にはなくても身体は覚えている?
 もう一度、そんなキスをしてもいいかな……。
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