光のもとでⅠ
 ……どのあたりの何を察したらいいんだろう。
「あ、悩んじゃった?」
「だって……あれは私が空を見たいって言ったからで……」
「それは翠葉ちゃん側の理由であって、秋斗くんにしてみたら口実に過ぎないわ。実際は自分の手元に置いておきたいのよ。目の届くところに、すぐ手を伸ばせるところにいてほしいだけ。そういうのが独占欲」
「……それに似たことを司先輩が言っていました」
「えっ!?」
 今までに見たことがないくらいに栞さんが慌てだす。
「昨日ね、司先輩の恋愛話を聞いたんです」
「何を聞いたのかしら……」
「司先輩は失恋したばかりみたいです。私、びっくりしちゃいました。あんなに格好いい人を振ってしまう人がいるんですね? でも、先輩は諦めるつもりはないって。自分を見てくれるまで待つって……。今はその女の子が笑ってくれて、目の届くところにいてくれればいいって……。それも独占欲ですか?」
 栞さんは小さく息を吐き出した。
「それは独占欲じゃなくて見守るって感じかしらね。司くん、本当にその女の子のことが好きなのよ。だから、その子の幸せを心から願ってるんじゃないかな」
 と、少し切なそうな顔をした。
「……私、先輩の話を聞いて少し羨ましくなっちゃいました」
「え?」
「司先輩はその人しか見ていないだろうから、そこまで想われてるのがなんだか羨ましかったです」
「そうね、ほかの子には見向きもしないでしょうね。……でも、秋斗くんも今はそうなんじゃないかしら?」
「そうでしょうか? 秋斗さんは誰にも優しいですよ?」
「不安?」
「……よくわからないです」
 秋斗さんに対する不安よりも、今は司先輩の気持ちのほうが気になった。
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