光のもとでⅠ
 彼女は身じろぎもせず、安らかな寝息を立てていた。
 触れてもいいだろうか――。
 別にやらしいことをするとかそういうわけではなく布団に入れるためだけに。
 ただ、その前にミッションが――。
 上に着ているポンチョとフリースのパーカは脱がせないといけないと思う。
 トレイに置いてあった冷めたラベンダーティーを一気飲みし、彼女に触れた。
 起こさないように、壊さないように、極力肌に触れないように――。
 蒼樹の話だと、部屋の温度が変わったり物音ですぐに起きてしまうと聞いていたが、今のところ、そんな気配は微塵もない。
 地震が起きても起きなさそう……。
「それだけ疲れてるんだろうな……」
 彼女に触れるとずいぶんと熱く感じた。
 寝ているから体温が上がっている、というよりは、別の熱さな気がした。
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