光のもとでⅠ
「……もうちょっとがんばって布団の中に入ってほしかったな」
 でも、ここからは苦労することはない。
 あとは布団に彼女を入れればいいだけだ。
 手前の布団を半分開き、彼女を抱え上げるとそこへ寝かせた。
 布団をかぶせようとしたとき、彼女の右手が髪の毛を触り彷徨う。
 何……?
「あ――」
 きっと手が捜し求めているのはとんぼ玉。
 それは今、俺の胸ポケットに入っている。
「……司、悔しいけどさ、プレゼントのセンスはおまえのほうが上みたいだ。俺があげた髪飾りはすぐに外されちゃったよ」
 胸ポケットから取り出したそれを彷徨う彼女の手に握らせると手の動きが止まった。
「手首に通しておいたらそんなに力を入れなくても済むよ」
 こんな言葉は彼女に届かない。
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