光のもとでⅠ
「え? そりゃ、夜に男ふたり揃えばそれなりの話しかしないですよ。ほら、昔秋斗さんとしてたような……」
 俺があんちゃんに笑みを向けると、あんちゃんは「くっ……」と笑いを堪えるように口もとを押さえた。
「何、蒼樹ってそういう話するタイプ!?』
 秋斗さんの声は少し大きくなり、隣で耳を澄ませているあんちゃんにも十分聞こえる声だった。
 なんていうか、獲物がかかった、って感じだよね?
 あんちゃん、一緒に大物釣り上げようよ。
「これ、スピーカーにしてもいいですか?」
 そんなことしなくってもほぼ筒抜けなんだけど……。
 なんたって、俺とあんちゃんはまだ隣に並んで座っているのだから。
 まず男同士ではめったにないポジショニングだろう。
< 4,376 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop