光のもとでⅠ
「……俺、先輩に殺されるかも。……でも、いいよ。そんな困った顔をされたらダメとは言えない。俺、ドアストッパー持ってるからひとりでもドアの開け閉めはできるし」
「……良かった。本当にすみません」
「だけど、先輩に詰め寄られたらかばってね?」
「はい」
「じゃ、先輩が戻ってくる前に出よう」
 高崎さんはドアを開けに行き、すぐに戻ってきて私のことを抱えあげてくれた。
「俺、こういうのには慣れてないから、できれば首か肩に腕を回してつかまっててくれる?」
「はい」
 秋斗さんには絶対にできない。でも、高崎さんならできる。蒼兄も平気……。
 この差はなんなのかな? 秋斗さんはやっぱり好きな人だから恥ずかしいのだろうか……。
 高崎さんは玄関を出ると、足で器用にドアストッパーを外した。
 エレベーターに乗り込み、
「先輩は優しいでしょう?」
「はい」
「でも、こういうのは恥ずかしいんだ?」
「……手、つないだりとか……嬉しいけど恥かしくて……」
 答えると、高崎さんはクスクスと笑った。
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