光のもとでⅠ
 俺は今まで、生徒会に属そうが部に属そうが、基本はひとりだった。
 翠と関わるまで、人と共に行動するなんてことはほとんどしてこなかった。
 今だってそうだ。
 生徒会の人間やケンはただまとわりついてくるだけで、俺が率先してそのグループに入っているわけではないし、学校外で会うことはまずない。
 どちらかというならば、ひとりでいるほうが楽。
 その点、目の前にいる海斗はクラスの人間とも部の人間とも学校外での関わりを持つ。
 翠の葛藤の理由――その意味を違えずに理解できなかったら、俺はこれからも先もずっと、翠の体調しだいでは行動に制限をかけてしまうだろう。
「なるほど……そういうとこさ、司と秋兄って似てるよね?」
 秋兄……?
「秋兄は外面はいいけどやっぱり学校を出てまで人と付き合うってことをしてたとは思えないし、今だってごく限られた人間としか付き合ってない」
 確かにそういう意味では同じなのかもしれない。
 じゃぁ、秋兄も翠の葛藤までは理解できていないのだろうか。
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