光のもとでⅠ
「たぶんさ、翠葉は周りの人間と一緒に行動できなくなったら、集団の中で自分が浮くと思ってるんだ。そのこと自体が翠葉の中でも『仲間はずれ』とか『いじめ』に直結してるんだよ」
 藤宮に来る前に植えつけられた思考回路ってことか……。
「それだけじゃなくて、俺らと一緒にいるのが楽しいからって思ってくれると嬉しいんだけどね。司は翠葉の中学の話しとか聞いてる?」
「いや、詳しくは聞いてない」
 訊こうとすら思わなかった。
 球技大会のときにインカムから聞こえてきた内容でどんないじめにあっていたのかなら触り程度には知っている。
 海斗はすでに食べ終わったプレートを前に、「ごちそうさま」と手を合わせ、それらを片付け始めた。
 キッチンから戻ってくると、
「あっちの部屋に行こうよ」
 海斗の要求に応じ、コーヒーを持って自室へと場所を移した。
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