光のもとでⅠ
 俺はデスクチェアに座り、海斗はベッドを背にして胡坐をかいた。
「一学期始めの頃、翠葉が身体のことを話してくれたときにこんなことを言ってた。体育の授業でさ、夏はみんなが汗だくになってるのに、自分はエアコンのきいた部屋でレポート。冬はみんなが寒い中持久走してるのに、自分はあたたかい部屋でレポート。そういうのがひんしゅくを買う経緯にあったみたい」
 海斗は言いながら背を反らせ、天井を見る。
 そんなの――。
「仕方ないじゃんなぁ?」
 身体を起こして海斗が言う。
「確かにさ、涼しいところにいられるのもあたたかいところにいられるのも事実だけど、それと引き換えにできないことだって翠葉にはたくさんある。そっちがいいとかどっちがいいとか、そういう問題じゃないけど、理解できないやつはできないんだ」
 それが、そんなことが翠が中学でいじめにあっていた理由?
 低次元すぎないか?
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