光のもとでⅠ
「いじめなんてさ、きっかけは些細なことなんじゃん? 藤宮の初等部低学年にもこんないじめは普通にあるけど、司は我関せずだからなぁ……クラスで起きたいじめとか覚えてないだろ?」
 その辺の記憶はかなり怪しい……。
 海斗は「やっぱりな」といった顔をして先を続けた。
「学校っていう場所はさ、どこも同じで勉強のほかに協調性を学ばせるための場だと思うけど、それがあまりにも考えなしの『右向け右』だといいことないよね。いじめって現象を『右向け右』されちゃうと、それは集団いじめになる。うちの学校はいじめを始めた人間よりもそれに便乗した人間のほうを問い詰める傾向にあるから、中学年くらいまではそういうのはなくならないけれど、高学年になればほとんどなくなる。中等部に上がる頃には単独から三、四人で誰かに嫌がらせ、ということはあっても、それ以上の集団にはなり得ない。うちの学校ってちょっとそのあたりは徹底してる考えてると思う」
 集団における心理伝染、ね。
 藤宮学園は己が「集団」の中の「個」であることを常に意識させ学ばせる。
 周りに流されることと協調性は別物――。
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