光のもとでⅠ
 藤宮の生徒はひとりひとりの個性が強いと思われがちだが、皆が皆、最初からそうだったわけではない。
 幼稚部から初等部、中等部、と時間をかけ個性を伸ばす場を与えられ、伸びるような教育を受けてきているだけのこと。
 だからといって、協調性に欠けるかといえばそんなことはない。
 それぞれが意思を持って右を向いたならば、それはその場に流されて右を向いている集団よりも固い結束となる。
 つまり、意思のあるなしに関わらずの「右向け右」はあってないような協調性でしかなく、ただ単に自分で自分の歩く道を決められない人間であり、自分の意思を口にすることができない人間の集り。
 そこにリーダーの素質がある人間が立てば、人ひとりの意思が規範となった烏合の衆のできあがり。
 うちの学園に置いてグループプレッシャーをかけられる人間がちがいるとしたら、それは生徒会や風紀委員くらいなものだろう。
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