光のもとでⅠ
「司が数分経っても翠葉が出てこなかったら迎えに行ってくれって……」
 なんだ……先輩確信犯じゃん。
 ある意味ひどい……。
「あいつはさ、今翠葉が泣いているのもわかってる。それでも言いたい何かだったんだろ?」
 その「何か」を俺は訊いちゃったんだけど、てんで意味はわからずだ。
「空太、今日は遅刻を覚悟したら?」
 目の前の長身に言われる。
 兄ちゃんは俺より五センチ高い百八十六センチ。
 高校の間に追い越してやる、と思うものの、もう身長は伸びてないっぽいんだよね。
 春の身体測定で身長に変化なかったし。
「これ以上の立ち聞きってのもね」
「同感……」
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