光のもとでⅠ
「だって……ただでさえ身体のことで心配かけているのに、学校のことまで心配かけたくなかったよ。それに……体調のせいだったとしたら、お母さんとお父さんがつらい思いする」
 俺、こんなところでこんなふうにこんな話聞いちゃいけないんだろうな、って思う。
 ちょっと目頭がやばい。
「おまえが泣いてどうするよ」
 隣の兄ちゃんが呆れたように口にした。
「蒼兄……私、知ってるのよ? お母さんが一時メンタルクリニックに通っていたの……。あれは私の体調が原因なのでしょう?」
「……翠葉が気づいているのは薄々わかってた。たぶん、母さんも……。それはちょっと置いておこう? 学校を休んだ次の日はすごく怖いんだろ? なら、今日も休まずに行ったほうがいいんじゃないのか?」
 身体のことはただ知られたくないだけだと思ってた。
 留年って結構重い響きだし……。
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