光のもとでⅠ
 俺、苦手なものは徹底して克服させる主義なんだ。
 こんなの、勉強を教えるのと然して変わらない。
 わかるまで何度も問題を投げつけ、何度だって解かせる。
 サドで結構。パブロフの犬上等。

 教室に入り、窓際――後ろから二番目の席へ真っ直ぐ向かう。
 席に落ち着き、一限目のノートを広げたものの、窓の外が気になって仕方ない。
 翠は来るだろうか……。
 本当は昨日の夜に言っても良かったんだ。
 ただ、言うタイミングを少し考慮しただけのこと。
 昨夜話したら、今日の翠は間違いなく睡眠不足だっただろう。
 俺はそれを回避したかっただけだ。
 言おうかどうかに悩んだわけじゃない。
 登校前に待ち伏せしたのは、学校へ行く前が一番効果的だと思ったから。
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