光のもとでⅠ
 なんであいつが、とは思う。
 けど、とりあえず学校へは来たから良しとするか。
 分針が五を指していた。
 あと五分もあれば二階の教室には着くだろう。
 迂闊にもため息をついてしまった。
「はっは~ん、司、何かあったんでしょ?」
 訊いてきたのは嵐。
「別に」
 そう言って、翠の姿を目で追っていた。
 高崎が一年B組であろう場所を指差し翠が顔を上げる。
 泣いた、な。
 遠目でもわかる。
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