光のもとでⅠ
「いい加減話せ。なんで泣いていたのかを」
 話を本題に戻すと、
「……どう話したらいいのかわからない」
「どこからでもいい。だいたいの想像はついてる」
「じゃぁ、なんで訊くの?」
 翠の足はまた止まる。
「……やめたんだ。翠を見てわかったつもりになるのは。翠が思ったこと、感じたこと、考えていることを翠の口から聞く。そう決めたんだ。夏休みにもそう話したはずだけど?」
「……いつもなら勝手に表情読んで先回りして答えをくれるのに」
「差し支えないときならそれでいい。でも、これは違う」
 翠が重い口を開く。
「好きな人がいる学校は――楽しくて幸せで……それと同じくらい怖い」
 やっと言ったか……。
 でも、要約しすぎ。
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