光のもとでⅠ
 いつもなら、人が言ったことを真に受ける翠が、心の底で信じきれずに葛藤するくらい――それほどに翠が負った傷は深い。
「できればそのくらい一度聞いたら二度と忘れるな……くらいのことは言いたいところだけど、翠の頭は俺が思っていた以上にメモリが足りないようだし、俺がどれだけ言葉を駆使してもその不安は拭えないんだろ?」
 翠を見れば、目を見開いて俺を凝視していた。
 見る、というよりは凝視。
 言葉だけじゃ足りない。
 学校で顔を合わせるだけじゃ足りない。
「なら、毎日電話しようか? それともメール? 翠が選んでいい。ほかに何か安心につながる行動があるなら提案してくれてかまわない」
 ほかに何がある……?
「あぁ、周りの反応を考えると翠は嫌がりそうだけど、毎日一緒に弁当を食べるっていう案もある」
 もれなく簾条たちもついてきて、最悪なランチタイムになりそうだけど……。
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