光のもとでⅠ
「翠葉、空太は悪くない。俺が吊るし上げて喋らせただけ」
 いつもの海斗くんからは想像もできないほどに声が低い。
 私はうろたえることしかできなくて、中途半端に上げた両手はあてもなく宙を彷徨っていた。
「もう少しやり方ってものがあるだろっ!?」
 海斗くんはまだツカサの襟元を掴んだまま。
 海斗くんのほうが背が高いから、必然的にツカサが見下ろされることになる。
 それでも、ツカサは目を逸らすこともしなければ、されていることに何ひとつ抵抗も見せない。
「これが俺のやり方」
 ツカサは静かに答えると、何をどうしたのか、ツカサが少し動いただけて海斗くんの手が外れた。
 逆に、今は海斗くんが右腕を掴まれている状態で、腕を捻りあげられている。
< 4,514 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop