光のもとでⅠ
 たくさん端折っちゃったからきちんと伝わっているのか不安だったけれど、相槌を打つたびに蒼兄の表情が優しくなっていくから、ちゃんと伝わっているんだな、と思えた。
 そして、私はすべてを吐き出すことで、頭の中や心の中が多少整理できたように思えた。

 ポーチで音がして、玄関の開閉する音。
 そして次にはこの部屋をノックする音――。
 誰だろう、と思いながら返事をする。
 ドアから顔を覗かせたのは秋斗さんだった。
「こんばんは」
 秋斗さんの手には大きなケーキボックス。
「静さんからアンダンテのタルトを預かってきたよ。翠葉ちゃんの大好きな苺タルトが一ホール」
「わぁっ! 嬉しいっ! あ、でも……秋斗さんが預かってきたということは、静さんはいらっしゃらないんですか?」
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