光のもとでⅠ
「翠は音楽鑑賞しながらバスタイム? ずいぶんと余裕だな?」
「ちゃ、ちゃんと英語のルーズリーフ持って入ってたよっ!?」
 ジップロックに淹れたルーズリーフをずい、と前に差し出すと、
「じゃ、あとでテストするから」
 ツカサは口端を引き上げにやりと笑った。
 ツカサの意地の悪い笑みは見慣れているはずなのに、なんか――心臓がうるさい。
 顔が熱いのはお風呂から上がったばかりだからで、心臓がうるさいのは、どうして……かな。

 髪を乾かし終わる頃には変なドキドキも落ち着いていた。
 そのあとはツカサに――というよりも、ツカサの作った問題にいびり倒されることになったけど。
 十二時になると勉強会は終わり。
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