光のもとでⅠ
「それって類似したソフトが司の手元にあるってやばいんじゃないの?」
「なんで?」
 ツカサはなんでって訊くけど、私は海斗くんの言っている意味がわかる。
「だって、追試の試験問題と似たものが作れちゃうってことでしょう?」
「翠、海斗――ふたりはまさか追試を受けるような点数を採るつもりはないよな?」
 にこりと笑みが返され、背筋がゾクゾクした。
「仮に、生徒会にそんな人間がいたら困る。それに、俺と試験勉強をやっていて、そんな点数を採ろうものならどうなるかわかってるんだろうな?」
 私はカチコチした動作で海斗くんの方を向いた。
「か、海斗くん、今までこんな恐怖をひとりで味わってきたんだね? お疲れ様っ」
「あぁ……翠葉よ、わかってくれるか? さらにはツカサに似たのがあと三匹いるんだ。『お疲れ様』は嬉しいけど、まだあと一年半はこの状況から抜けられる気がしない」
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