光のもとでⅠ
 ゴム手袋をしてスポンジを泡立てると、キュッキュ、と音を立てて楽しみながら洗う。
 そして、先ほど気になったことを考え始める。
 ツカサの身内特権――それが適用されるほどに、私はツカサの側にいられているのだろうか。
 でも、私は海斗くんのように血がつながっているわけではない。
 単なる後輩で友達、という関係だ。
「血」ではなく、「生徒会」特権だろうか。
「……それがどうしてショックなんだろう」
「何が?」
「きやぁっっっ」
 第三者の出現に、私は驚きマグカップをシンクへ落とした。
 ゴツ、と鈍い音をたてたけれど、マグカップは割れることはなく無事。
 あまり無事ではないのは私の心臓。
 一気に心拍数が上がった。
< 4,547 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop