光のもとでⅠ
 心も自分も同じはずなのに、この件に関しては「別」と思いたくなる。
 それは、信じている人たちを自分が疑っているということを受け入れたくないから――。
「蒼兄、大丈夫……」
「ん?」
「私が変な方向へ考え始めたら、きっとツカサがガツンって怒ってくれる」
 それはとてもとても痛いけど、心の不安よりは全然いい。
 ツカサの「リカバリー」は容赦ない。
 手をつないだままブンブン振り回されて、血液が身体の末端へ偏ってしまう感じ。
 それでも、つながれた手は遠心力に負けることなく掴まえていてもらえると思うから――不安に駆られて心が固まってしまうよりはいいのだと思う。
「それにね、私が不安そうな顔をしたら、空太くんが『大丈夫』って言ってくれるんだって」
 きっと、海斗くんも飛鳥ちゃんも桃華さんも佐野くんも――。
 クラスの友達みんながそう言ってくれるのだろう。
 そこまでわかっていても、私の心は闇に怯える。
 でも、前へ進まなくちゃ――。
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