光のもとでⅠ
 突如鳴り出した着信音に身体と心が反応してしまったからだ。
 ツカサは携帯を凝視してから私に視線を移す。
 視線だけで問われている気がした。
「何をしたのか」と。
「……勇気も覚悟もないのに、メール、送っちゃった――」
 何も掴むものがなくて、身近にあったソファをぎゅっ、と掴む。
 何かを掴んでいないと、座っている体勢すら維持ができない気がして……。
 そんなことあり得ないってわかっているけれど、急に床に穴が開いて落ちてしまうのが怖かった。
 でも、本当はソファではなく、すぐそこにあるツカサの手に掴まりたかった。
 その手が欲しかった。
「……勇気も覚悟もなくカミングアウト?」
 頷くことで認める。
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