光のもとでⅠ
 見て見ぬ振りができるのは、周りに合わせて自分の身体を動かせる間だけなのだから。
 このまま動けば、この身体は強制的に一防衛手段として起動しなくなる。
 身体を起こせなくなれば、その時点でアウト。
 学校を休まざるを得ないのだ。
「俺が突きつけなければそのままでいられた?」
 ツカサは普段から落ち着いた話し方をするけれど、よりいっそう単調で静かな声音だった。
「それは違う……」
 違うよ、ツカサ。
「自分がこのことに向き合いたくなかったから、だから――」
「それを突きつけたのは俺だけど?」
「……ずっと逃げてちゃいけないことだったから、本当は気づいてほしくなくても、私が気づきたくなくても、気づかなくちゃいけなかった」
 いつかは絶対に向き合わなくてはいけないことで、それが少し早いか遅いか、ただそれだけの問題。
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