光のもとでⅠ
 心構えはしたつもりだった。
 だから、メールを書いてクラスのみんなに送ったのだ。
 でも、勇気も覚悟も足りていなければ、心構えだって薄っぺらいものだった。
 全部自分がいけない。自分が弱いのがいけない。
 ……佐野くん、ごめんね。
 佐野くんだって昨日今日、朝の午後で強くなれたわけじゃないよね。
 そんな一朝一夕でどうこうできるものじゃないよね。
 でも、私は佐野くんの強さに惹かれて、自分も早くそこにたどり着きたくて、憧れるのと共に、今の自分から逃れたかった。
 結局、最後まで向き合うことができていない。
 自分でばら撒いた種すら収拾できてない。
「今、また携帯から逃げてるけど?」
 その言葉にズキリ、と胸が痛む。
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