光のもとでⅠ
「俺も司もここにいるんだからさ」
 そう言うと、私の携帯と同じように海斗くんの携帯も鳴り出す。
「あーだーもーっ! 翠葉が出ないと全員俺にかけてくんだよっ」
 大声を出して、
「はいっ、こちら海斗っ! ただいま留守にしておりますっ」
『つか全然留守じゃねーじゃんっ! 通話中って出てるわ、ボケっ』
 人の声は不思議だ。
 私の携帯がうるさく鳴る中でも独特な響きで耳に届く。
『翠葉っちの携帯、普通にコール鳴るようになったけど、出てもらえないっぽい』
 誰かはわからないけど、クラスメイトだと思った。
「ちょっと待って。ほら、翠葉っ。和光から」
 海斗くんの携帯が強制的に耳に当てられる。
『えっ!? 何っ!? そこに翠葉っちいるの? もしもしっ!?』
 声が出せない……。
< 4,589 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop