光のもとでⅠ
 危うい均衡の中にあった部屋の空気がふわっと柔らかくなる。
 もう少しで灰色の世界になってしまうところだった。
 でも、寸でのところで食い止めてくれた人たちがいる……。
 携帯も、今は着信を知らせるランプというよりは、メールが届いている、というサインのランプのみが点る。
 読もう……。みんなからのメールを。
 一歩一歩、疎かにしないで刻み込むように前へ進もう。
 振り返ったとき、しっかりと軸跡が見えるように。

 一番新しいメールを開くと、香乃子ちゃんからだった。
 それは写真つきのメール。


件名 :友情定期券
本文 :紛失した際には無料で再発行!
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