光のもとでⅠ
 ――「翠、顔を洗って夕飯まで休め」
 ツカサのその言葉に頷き、三人にお礼を言って休んだのだ。
 まだぼんやりと霞がかった頭でツカサに尋ねる。
「ツカサ……もし願ったなら、私の未来に友達はいてくれるのかな?」
「……俺が願ったなら、翠は俺の未来にいるのか?」
「そこに私はいられるのかな? いていいのかな?」
「……俺の十秒後の未来に翠はいるだろ。翠の十秒後の未来にも俺はいる。一秒先でも未来は未来だ」
 そう言うと、ツカサは先に部屋を出ていった。

 入学したばかりの頃は、大切なものはこんなに多くなかったはず。
 身体に負担がかかって学校へ通い続けることが困難ならば、すぐに辞めようと――そのときは友達のことは何も考えなかった。
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