光のもとでⅠ
「じゃ、私もっ! 沙耶よ、沙耶っ」
「は、はい……」
 少しぼーっとしていたら、話が妙な方向へ進んでいて、考えてみればなんの脈絡もない面子が顔を突き合わせていた。
「最近わかったのよ。藤宮くんに絡むより、この子に絡んだほうが名前覚えてもらえるって」
 そう言ったのは静音先輩。
「私の場合、恋愛対象として彼を見ていたわけではないから――そうね、強いて言うなら観賞用? それに彼の声も好きなのよね。自分が話しかけたとしても会話は続かない。でも、姫と一緒にいるともれなく表情豊かな藤宮くんを見られるし、声を聞けるという特典つき」
 なるほど、と納得してしまう。
 自分はおまけ付きの何かかな、と。
 まず、あのツカサが特典(おまけ)であることがおかしい。
「あ……でも、玩具菓子ならおまけのほうが高価なこともありますよね」
 小さいとき、スーパーのお菓子売り場でおまけ欲しさに食べたくもないお菓子をお母さんにおねだりしたことを思い出す。
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