光のもとでⅠ
「唐沢さん、姫様はそれが目的でここにいるみたいよ?」
 静音先輩よりも私を先に見つけた亜里沙先輩が代わりに答えてくれた。
「「どういう意味?」」
 食いつき良好な二年の先輩ふたりが、ずい、とテーブルに身を乗り出す。
 私は思わず身を引いた。
 そんな私を見てくすくすと笑いながら、
「風紀委員が見張っていようが見張っていまいが、姫様は呼び出されるじゃない? それでスケジュールが狂うことも少なくないみたいなのよね。その挙句、姫様が考えたのがコレ。自分の休憩時間は人が声をかけやすい場所でひとりで過ごす。括弧、人が声をかけやすく、手を上げにくく、場合によっては早期に離脱できる場所、閉じ括弧」
「……姫の頭ってどうやったらそんなにおめでたい結論に至るわけ?」
 沙耶先輩の冷たい視線が痛い。
 自分ではかなり考えたつもりなのだけど、沙耶先輩にはご理解いただけない模様。
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