光のもとでⅠ
「あ~ぁ、本当にやってられないわ」
 沙耶先輩は言いながらテーブルに広げていたお菓子をひとつ摘んだ。
 静音先輩は「あっきれた」と、くるっとした目で私を見ている。
「世の中、私みたいな良心的な人間ばかりじゃないのよ?」
「でも……静音先輩みたいな方もいるかもしれないし……」
 そんな話をしていると、図書棟からツカサが出てきたのが見えた。
 ツカサは私がいるテーブルを見ては怪訝そうな顔をしてやってくる。
「翠、歌合わせの時間」
「あ、はい」
「何か言いたそうな顔をしてるけど?」
 沙耶先輩がツカサに向かって発すると、ツカサは沙耶先輩ではなく私に答えをくれた。
「こんなのが一緒にいたら、翠の目的は果たせないんじゃないの?」
 ツカサが「こんなの」と指したのは沙耶先輩。
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