光のもとでⅠ
 いずれの場合も、その場に行けば茜先輩かツカサがいた。
 ツカサがいるのは一緒に歌う曲と私がピアノ伴奏に入るもののふたつ。
 茜先輩は、私が歌うほとんどの曲にピアノ伴奏として入っていてくれたので、いつでも一緒だった。
 人前で声を発するというのはなんとも勇気のいることで、それが「歌」というだけで、予算案の読み上げよりもっともっとハードルの高いものに思えた。
 マイクを通した自分の声や音量そのものにも驚く。
 ピアノ演奏と同じだなんてとんでもない……。
 それが正直な感想。
 それでも、伝えたい思いがある。
 それを念頭に置くと、声がす、と出た。

 初めての合わせはツカサの歌でスピッツの「優しくなりたいな」だった。
 私はピアノ伴奏での参加。
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