光のもとでⅠ
 茜先輩と歌う、RYTHEMの「ツナイデテ」は、最初は茜先輩がピアノでふたりピアノの前で歌うはずだったのに、いつの間にか茜先輩が考えた簡単な振り付けつきになっていた。
 振り付けの手と手を合わせる部分に差し掛かると、茜先輩に「大丈夫だよ」と言われている気がした。
 始終つながれたままのその手は体温を分けてくれ、さらにはエネルギーも補充してくれる。
 私は茜先輩に引っ張っぱられて歌っているようなものだった。
 茜先輩は不思議……。
 いつどこにいてもかわいくて目を引く存在ではあるのだけれど、歌を歌うと拍車がかかる。
 そこがステージでもステージじゃなくても、茜先輩が歌を歌うだけで、そこがステージになる。
「歌を歌うために生まれてきた人」――。
 そう思わずにはいられないほどの存在感。
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