光のもとでⅠ
 紅葉祭が終わったあと、それらの作品はどうなるのだろうと思って訊いてみると、
「作品の一部は職員棟の表玄関と食堂に展示されるわ。残りは華道部で再利用」
 紅葉祭が終われば体育館に飾られたすべてのものが撤去される。
 そうなったとき、いけられた花や木がどうなるのかが心配だっただけにほっとした。
 いけ花が嫌いなわけじゃない。
 でも、やっぱり土に根を張っている植物を見るほうが安心する。
 花瓶にいけたお花がどんどん力をなくし、しおれていく姿は痛ましい。
 飾っていることすら痛々しくて見ていられなくなったとき、お花の部分だけを切り水に浮かべる。
 その様はとてもかわいらしいけれど、それとて長くはもたない。
 それらを捨てるとき、いつも心がぐしゃりと音を立てる。
 だから、切花はあまり好きじゃなかった。
 見ているのは好きなのに、それが側にあると、「あとどのくらい?」と花の命を気にせずにはいられないから。
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